日本糖尿病学会近畿地方会に参加しました。

高齢者糖尿病のシンポジウムを聴講したので印象に残った点を以下にまとめます。

 

原則:一般的に高齢者の特徴として筋肉量の減少(サルコペニア)、身体能力の低下(フレイル)、腎機能の低下(CKD)があり、特に糖尿病がある場合、これらが進行しやすい。

     食事療法:これまで、標準体重としてBMI 22が理想とされてきたが、高齢者においてはBMI 2225 程度を目安に、現在の体重も勘案しつつ、個別に目標体重を設定すべき。サルコペニア対策のために蛋白食を積極的に勧めるが、eGFR 30未満ではやはり蛋白制限を優先させるほうが良い。

     運動療法:有酸素運動、筋トレを組み合わせる。運動経験のない人が70歳代から始めても、効果はある。筋トレはバランス感覚や骨密度も改善させる。

     薬物療法:腎機能低下がある場合、SU薬は危険。シュアポスト(代謝産物に血糖降下作用がないため腎機能低下していても低血糖のリスクが比較的少ない)の使用も考慮すべき。GLP-1受容体作動薬もCKDにおいて有力な選択肢。

 

感想:サルコペニア対策やフレイルの評価法などが、ここ5年ほどで新たに登場してきたテーマです。まだまだ研究段階の分野ですので今後の研究成果をどのように実臨床につなげるか、引き続き学会や研究会に参加して情報収集を続けていこうと思いました。